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Ferrari 250GT LWB Tour de France 1959 |
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| この素晴らしいマスターピースの作り手であるフランスのジャック・ブラウアーは、イギリスのスティーヴン･バーネットやドイツのクラウス･ゴッフェルト（ワンマンファクトリー）、イタリアのヴィンチェンツォ・ボシカと並ぶ、43のフル･ディテイル･モデルのマスター・モデラーです。しかし、日本には殆どその作品が入って来ていないため、あまり彼の名は知られていません。少数の顧客からの直接の注文により、こつこつと作品を作り続けているようです。このモデルは2003年の10月に、名古屋のラクーンオートに偶然に入荷したものを手に入れました。ラクーンオートでも香港のディーラーを通じてたまたま入って来たものだったとか。ディスプレイ台には、“97”年製作と自筆で書き込まれています。 ブラウアーは、バーネットやゴッフェルトのように既製のキットに徹底的に手を加え、見事な作品を作るモデラーではなく、顧客の注文により、ボディやシャシーなど全て自分の手で起こして作るワンオフ(一品製作)のモデル作りをもっぱらとしています。 従ってこのモデルも全て彼のオリジナルです。実車を見たことは無いのですが、実物の写真と比べると、全体にかなりヴォリュームのある印象を受けますが、1/43サイズではそれが気品とともに獰猛な雰囲気を生み出しており、彼の解釈を感じさせます。恐らく、実車をそのままスケール･ダウンしたら、このサイズでは貧弱な印象になってしまうかも知れません。 |
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| ディスプレイ台に“silver line no.3 piece unique”と銘打ったこのモデルは、おそらく自らの原型を基にキャスティングしたホワイトメタルか真鍮素材にシルバー･プレートを施し、各モデルごとに細部を変更して何台かのシルバー・プレート・モデルを仕上げたものと、最初は思っていたのですが、実は完全なワンオフで、しかもメッキではなく銀ムクのキャスティングだそうです。また、ドアやエンジン･フードなどの可動パーツは、銀板からの叩き出しで作っており、まさしく手の込んだ工芸品の風格を醸し出しています。ブラウアーは、このようなソリッド･シルバーのワンオフ･モデルを何車種かシリーズで作っていたようで、これはその3番目のモデルという意味なのでしょう。 この写真を撮るときに、柔らかい磨き布で軽く磨いたところまた一段とその輝きを取り戻しましたが、通常の銀製品に比べ殆ど酸化が目立たないので表面をよく見たら、どうも酸化防止のためクリヤーをかけてあるようです。 クリヤーをかけるとどうしても元の自然な輝きがある程度殺がれ、本来の光沢が減じてしまいますが、実際そのままの銀製品だと 数年も経つと真っ黒になってしまいます。キャッチピンやワイパーなどの細かいパーツがあるため、表面を隅々まで、壊さずに完全に磨くのは元々不可能だと思うので、クリヤー掛けはやむを得ない選択なのでしょう。完成から8年後の現在、ボディの一部に、銀面とクリヤー層との間の剥離と思われる班が生じていますが、今のところはほとんど目立ってはいません。 |
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| 大型のレーシング・フューエラー・キャップのため、リア･ハッチには大きな切込みがあり、突き出た4本のエキゾーストが獰猛です。ボラーニのワイヤ･ホイールはエッチングではなく、手の込んだ編み込み式で再現された美しいものです。フロント･フェンダー後方のサイド･ヴェントは薄板の叩き出しになっています。 | |
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| 細かく作り込まれたエンジンルームやインテリアは通常の塗装を施してあり、ボディのシルバーとのコントラストが何とも言えません。シートと内装は薄く削いだベージュのラム･スキンを貼ってあり、カーペットには裏革を用いて、大口径のメーター類がドライバーの眼前に配されたレーシング･ダッシュボードとともに、シンプルで優雅な”250GT Tdf.”のインテリア雰囲気を表現しています。ディテイルに冷たさは無く、当時の手作りともいえるコンペティション・フェラーリのクラシカルで戦闘的な雰囲気が、ブラウアーの作風とマッチして見事に再現されています。 | |
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| 上記の事情でジャック・ブラウアーの作品は、日本では殆ど見る機会がありませんが、下記の彼のサイトでその驚異的なテクニックを垣間見ることができます。かなり重たい作りなので、アナログ･モデムの方は辛いかもしれません。 → J. Brauer w.o.l. ウェブサイト |
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| （2005年 3月7日 改稿） | |
| ＜参考資料＞ SCUDERIA No.14 / 1998年5月、“FERRARI 250GT Tdf”、ネコ・パブリッシング SUPERCAR & CLASSICS 23 / 1994年11月、“FERRARI 250GT Tour de France”、ネコ･パブリッシング SUPER CG No.20 / 1993年12月、『トゥル・ド・フランスの軌跡』、二玄社 |
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| もう一台の 『フェラーリ 250GT LWB』 を見る → Ferrari 250GT Tdf Zagato Mille Miglia 1958 (BBR 1/43, “My Collection Gallery”) |
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